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まちづくりNPO活動支援手法−交流ステーションの試み
(出典:日本NPO学会第3回年次大会報告概要集)
佐々木厚司(京都工芸繊維大学)、竹山奈乙雪(NPO法人生活環境づくり21・NPOフォーラム)、奥村亮仁(生活工学研究センター)、平沢香緒里(京都工芸繊維大学大学院)
はじめに
まちは、性別や年令或いは身体的特性に関わらず、全ての人にとってのものでなければならない。しかしながら、まちの物理的環境等を考えた場合には、それが必ずしも満たされているとは言い難い状況をみるのもまた事実である。 
 従って当NPOは、まちなかの様々な背景を持った人々が、積極的に交流する機会の必要性を考え、それが誘起される場、即ち私達が「交流ステーション」(以下、交流stと表記する)と呼ぶものの設営を試みている。また、ここで言う「交流st」とは、地区住民が集う、生活に密着した具体的な場であると同時に、それを後方から支援する人や情報の集う場としても捉えることとしている。
 以下では、当NPOが従前より支援するものとした京都府下の活動拠点地区を中心とし、そこでの実践によってこれまでに得られた成果から、「交流st」を通じたまちづくり支援の手法と、「交流st」という仮説の可能性に言及する。

1 場の摘出と展開(交流stについて)
 まちには、公園、神社の境内、駅前の空地など、普段は利用されずにデッドスペースとなってしまっている部分があり、特に商店街においては、空き店舗などの経済的理由で生まれたそれも存在している。一方それらスペースは、概してある程度の人々が集まれるだけの広がりをもつものが少なく無い。それらスペースを「交流st」として転用/活用し、地区に投入すべき機能を提示しつつ、誰もが楽しめる場を提供するのである。またそれは、特定の地区にその設営が限定されるものではなく、一方で提示するコンテンツは、対象とする地区の歴史性やその設営機会に呼応したものが望ましい。
 展開を試みた具体的な活動としては、小学生が参加する各種ワークショップ、セニアカー体験、オープンカフェ、アーティストたちのギャラリーなどがある。
 各地区で実現したそれは、地区住民主体の協議会において当NPOが提案し、展開される具体的内容やそこでの効果についての検討が為されたものである。また、設営の場となる空き店舗や駐車場等については、地元協議会によって提供されている。

2 各種団体との連携(参加型祭りと交流st)
 当NPOの活動拠点地区となる府下三地区は、地域性、歴史性に特徴のある一方で、都市基盤整備・環境整備が不充分であり、あわせて有効なまちづくり組織が従前まで機能していなかったという経緯がある。そこで私達は、まちづくりの要素としてそれぞれの地区に参加型の「祭り」を提案また実施の支援をし、それら「祭り」は現在、地区住民に十分認知されるに至っている。「交流st」は、そのイベントメニューの一つとして、また「祭り」の拠点として設営したものである。
 地区内外の各種団体との連携をもって、NPOの活動は方向付けられるが、それは「祭り」にあっても同様である。そこで、商店街組織、住民組織、社会福祉団体などそれぞれの支援地区毎の「まちづくり会議」に参画する団体はもちろんのこと、特に「祭り」のイベントメニューに関しては、特定の地区を超えて当NPOの活動に協力的な団体に依頼することも少なくない。そしてそれらの団体相互の交流の場ともなり得る「交流st」の設営は、継続的な支援体制が求められるまちづくりの活動においてNPOの責務と捉える。

3 オープンネットワーク(交流ステーションの展開)
 従来よりそれぞれの支援対象地区毎にウェブページを運営し、インターネットを介して各種イベントのレポートや地域情報を広く発信してきている。また、当NPOの組織内部で、或いは地区内外の各種団体とオープンな場での意志疎通を図るため、ネット上の掲示板や電子メールおよびメーリングリストを積極的に活用している。それらは、より汎的に「交流st」を捉えるものとして機能しつつあり、他地域からのまちづくりに関する情報が、対象地区での活動に反映されることともなっている。
 現在は、支援地区内の歴史データベースやバリアフリーマップをウェブページ上に提供するなど、より双方向的な媒体として、また他のNPO等の団体相互間の交流を図るためポータルサイトの設営を始めている。

4 おわりに
 「交流st」の設営を契機にして、地区外団体と施設提供者間に新たな協力関係が生まれるなど、長期的なまちづくりの視点からも一定の成果を得ていると思われる。またイベント時に設営した際には、特に近隣在住高齢者の来訪が多く見受けられ、設営の継続への要望も少なくなく、地区ニーズの掘り起しにとって有効であることが確認された。
 「交流st」自体は、まちのデッドスペースを転用することで小資本かつ随時に設営が可能であり、例えば、タウンモビリティ拠点、若手芸術家の作品発表の場、生涯学習の機会など、まちを舞台とした広い分野での交流の場としての展開が考えられる。その一方で、まちにとって魅力あるコンテンツを継続して提供出来る体制、つまり場づくりがNPOの課題である。
 なお「交流st」の設営にあたっては、社会福祉・医療事業団の助成を得た。
(2003/08/01掲載決定)